【IVRCを攻略する】Vol.4 - あとで役立つ記録のとり方5選

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パル@IVRC2015「ニョキニョキ豆の木」の中の人です。

IVRC2016、投稿完了されたみなさん、お疲れ様でした!

IVRCシリーズ第4回は、まだまだ余裕のある今のうちに知っておいてほしい「記録」についてのお話です。

 

まず、覚えておいてほしい。

記録は大事!!

どんなに切羽詰まっても、記録だけは絶対に残しましょう

これが大前提。もちろん制作中も展示中も、記録どころじゃないくらいに忙しいと思います。でも、IVRCが終わってから何の記録もない状態になってしまっては、せっかくの成果を証明できません。特に決勝で3位以内なら、学内外での展示や報告、論文発表、メディア掲載などの機会はほぼ間違いなくあるでしょう。

記録は、なんとなくとるものではありません。機材や人手を確保して、計画的にとるものです。

というわけで今回は、忘れがちだけど大切な「記録」のポイント5つを解説したいと思います。

あとで役立つ記録のとり方5選

 

1. 実験データを採る

展示中にもデータは採れます。 展示前に、実験設計をしておくとよいです。設定をいくつかのパターンで試せるようにしたりとか。

全く手が回らなかった最悪の場合でも、展示の実績として体験者数だけは絶対にカウントしておきたいところ。もちろん、展示の際だけではなく制作段階でも実験データを採れると論文につなげやすいでしょう。

 

2. 議事録をとり、すぐに共有する

ミーティングの議事録は、毎回とりましょう

ミーティング中にさくっと箇条書きして、終わったらすぐに参照しやすい形で共有します。

私たちニョキ豆チームの場合は、LINEのグループで [ノート] 機能を使って投稿していました。

全員がチーム全体の進行状況を把握することで、うまく回っていない部分を早めにフォローしやすくなります。また、次回のミーティングまでの課題を自己申告しておけば、個人の作業ペースもある程度管理できます。

それから、議事録を残しておくことにはノウハウの蓄積という意義もあります。どの時期にどんなことを考えていて、どういう問題に直面したのか。これは、研究室に蓄積できる重要な情報です。

今まさに読んでくださっている「IVRCを攻略する」シリーズも、ミーティング議事録を大いに参考にしています。

 

3. 写真を撮る

制作プロセスも展示も、その様子を写真に収めましょう

さらに言うと、スマホで撮るだけでなく、一眼レフで撮ったきれいなものがあると、大会後にすごーーーく重宝します。以下に、必ず撮っておきたい構図を列挙しておきます。

3-1. 制作過程
  • 実験風景
    まず、アイデア段階のもの。これは、作品が完成してからルーツを辿れるようにするためです。 ニョキ豆チームでは、公園の遊具にぶら下がっている写真とか。 結局、それは痛かったらしくハンモック式の機構になったんですけどね。 アイデア段階の試行錯誤は、もっと撮っておけばよかった。

  • プロトタイプ
    予選までほとんど撮らず後悔。失敗作含め、もっと撮ればよかった。

3-2. 設営・展示の模様
  • 作品 + メンバー全員
    壊れる前に!これ大事。設営が完了したら、メンバー全員集めてすぐ撮りましょう。学内外でIVRCでの取り組みを紹介するときに最もよく使う構図です。

  • システム単体の全体像
    主に論文などで技術的な話をするときに使います。人が写っていない、システムだけの構図で撮っておきましょう。細かい機構もそれぞれ撮っておくと、システム構成とかの説明をするときに便利です。

  • 体験中のプレイヤーの表情
    お客さんの反応が見えるものがいいです。シャッターチャンスを逃さずに!

  • ソフトウェアの操作画面
    ハードウェアばかり撮りがち。裏方も撮っておきましょう。

3-3. 授賞式
  • 受賞して嬉しそうなメンバー
    受賞を証明できるカッコイイ写真撮りましょう。チーム内で人数を割けない場合でも、あらかじめ誰かに頼んでおくとよいです。

4. 動画を撮る

デモ映像用の素材集めをしておきましょう

必要になってから作り始めると、映像素材を撮るところから始めなくてはいけません。この作業は膨大な時間を消費します。ぜひ、映像素材は制作中・展示中に撮っちゃいましょう。機材がなければiPhoneでもOKですが、いいビデオカメラがあればぜひそれを使ってみてください。欲しい構図は、写真と大差ありません。

あとは、設営中にタイムラプスやると面白いですよ!

ちなみに、Laval Virtual出展に際してはデモ映像の提出が求められます。Laval賞を獲るつもりでやっているチームは特に、IVRCの展示風景でデモ映像を作ってしまうことをおすすめします。

 

5. 体験者からコメントをもらう

特に予選のプロトタイプ審査では、体験してくれた方に積極的にアドバイスを求めましょう。

なぜなら、体験してくれる方の大半は、VR研究の第一線で活躍する研究者の方々だからです。そもそも予選大会はVR学会内で開催されるので、当然と言えば当然なのですが。

アドバイスを求める際のコツは、気になった点を自由に指摘してもらうことです。

昨年は、アンケートで仮説検証していたチームもありました。が、正直それはもったいないと思います。下手にVRをかじった我々よりも、はるかに目の肥えた研究者の方々から辛口コメントを引き出したい!

そのためには、根本的な問題点を指摘する余地を残す必要があります。ただ自分たちの仮説を検証したり、感想を聞いたりするだけでは不十分でしょう。

そこで、ニョキ豆チームでは、ヒアリング担当を決めて、体験直後にインタビューする方法を取りました。結果論ですが、これはいい方法だったと思います。

書くのは面倒でも、話すだけならほとんどの方が協力してくれます。「これがよくない」だけでなく「じゃあこうすればいいんじゃないの?」と改善方法まで提案してくださる方もいらっしゃいました。

予選は自分たちが見つけられなかった問題点に気づくチャンスです。決勝を見据えて、吸収できることはすべて吸収しましょう。

まとめ

「記録をとる」という行動は、作品の制作にも展示にも直接的には関係しません。

だから、忙しくなるとどうしても優先度が落ちてきます。でも、後から必要になったからといって「足りない!」と嘆いても遅いのです。そうならないためには、地道に記録していくしかありません。

今のうちに「こういう記録があったほうがいいよね」という計画を、チームで考えてみてはどうでしょうか?